知里真志保『アイヌ語入門ーとくに地名研究者のためにー』(北海道出版企画センター、1956年)

知里真志保『アイヌ語入門ーとくに地名研究者のためにー』 書籍
知里真志保『アイヌ語入門ーとくに地名研究者のためにー』
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北海道の地名はそのほとんどがアイヌ語に由来するものです。このサイトでもいくつか紹介しましたが、道南も早くから和人が定住したものの、ルーツをたどるとアイヌ語がもとになっている地名は多くあります。もし、アイヌ語地名に興味があるなら、手にして読んでほしい本がいくつかありますが、この本はその中でも5本の指に入るのではないでしょうか。『地名アイヌ語小辞典』と並んでアイヌ語地名を調べようとしたら必ず読んでほしい本です。

とくに語形や音韻、文法だけでなく、アイヌ人たちがどのような考えや観念をもっていたのか、詳しく記されています。アイヌ語入門という書物ではありますが、言語学というよりは民俗学的な要素を多分に含んでいます。古きアイヌ人たちの考え方や思想を垣間見れる一冊です。

とりわけ、読んでいて面白い?と言ってはなんですが、知里博士の反骨精神というか、『北海道蝦夷語地名解』を記した永田方正氏などの先学やアイヌ語学を取り組んだ研究者への批判を織り交ぜた「口撃」、いや文章だから「筆撃」かもしれません。それら研究者の内容をバッサバッサ斬り捨てながら、批判していく様は軽快というというか、時代劇のクライマックスのようです。では、なぜそのように他者批判を繰り返していたのか?単純に自分の研究成果のため、というわけではなく、巻末にその理由が記されています。

わたくしはこの本の中で、随所に先輩諸大家の説を引いて批判を加えたが、他意あってのことではない。大家と目せられる人々の書いたものは、それがでたらめであればあるほど、世に与える害は大きいであろうし、また大家ともあろう人々ですら陥るような誤は、それを吟味することによって、これからその道に進もうとする人々のいましめになる点も多いにちがいない。それにアイヌやアイヌ語に関するかぎり、どんなでたらめな放言をしても責任を負わなくてもすんだというような、アイヌ学会積年の悪弊は、この辺で根絶やしにしておきたいと思ったからである。(中略)

アイヌ語研究を正しい軌道にのせるために!

ーこの本を書いた私の願は、ただそれに尽きるのである。

知里真志保『アイヌ語入門ーとくに地名研究者のためにー』(北海道出版企画センター、1956年)276頁

知里博士の熱い思いがわかる文章です。筆者もできるだけ調べたうえで、書いていきたいと思います。(汗)

アイヌ語やアイヌ語地名に興味がある方は、是非読んでみて下さい。

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