今年は寅年ということで、ちょっと「寅」の付いた北海道地名をご紹介。
南富良野町に幾寅(いくとら)という地名があります。
ちょっと聞くと変わった地名だなと思いますが、そこは北海道です、すぐにアイヌ語が由来の地名と気が付くことでしょう。『角川日本地名大辞典』によれば、
(前略)地名の由来は、アイヌ語のユクトラシュベツ(鹿が越える大きな川)によるとする説(南富良野村史)、またユㇰトラシ(鹿が登る所)にちなむとする説もある(北海道駅名の起源)
竹内理三編『角川日本地名大辞典 1 北海道 上巻』(角川書店、1987年)109頁
と2説記載されております。南富良野村史からの引用はユㇰ・トラシュ・ベツでユㇰは鹿、ベツは川ということは理解できますが、残りのトラシュに越えるとか大きなとかの意味があるのかはちょっと不明。登るを越えると表現したのかもしれません。
やっぱりここは『北海道駅名の起源』説の方がしっくり来ますね。
yuk-turasi(-i)でユㇰ・トゥラシ(-イ)→ユㇰトラシ 鹿・登る・所 という解釈が成り立ちます。永田方正氏の『北海道蝦夷語地名解』もユㇰ ト゚ラシとして鹿登ル處という解釈のようです。
yuk-turasi-pet ユㇰ・トゥラシ・ペッ
turasiには川などを遡るというニュアンスが込められていますので、鹿がこの川を辿って上流に登っていくような場所なのでこの名前が付いたのでしょう。
往時はアイヌ人たちにとって絶好の狩場であったかもしれません。
コメント