渡島の亀田半島南沿岸部、旧戸井町に小安(おやす)という地名があります。近くには谷地町川・高屋敷川・小安川が流れており、地名の由来になっているのは小安川だと思われます。
永田方正氏の『北海道蝦夷語地名解』には、オヤ・ウシの項として、
川尻ノ漁塲 小安村の原名
永田方正『初版 北海道蝦夷語地名解 復刻版』(草風館、1984年)176頁
として、伝えています。山田秀三氏は『北海道の地名』の中で、
釜谷の西隣の地名。永田地名解は「オヤ ウシ。川尻の漁場。小安村の原名」と書いた。小安川という小川が流れている処である。
o-ya-ush-i「川尻に(あるいはそこに)・網が・ある・者(川)、あるいは処」であったろう。
山田秀三『北海道の地名』(北海道新聞社、1984年)429頁
と書いてあり永田氏の説を踏襲しています。
o-ya-us-i オ・ヤ・ウㇱ・イでオヤウシとなり、それがオヤスとなったのでしょうか。意味は川尻に(そこに)・網が・いつもある・者(川)です。名詞のya(網)の後ろにusがついているので、usには「沢山ある」あるいは「いつもある」という意味が込められています。山田氏も「ある」とは訳していますが、「いつも」と言う意味が込められていると思います。小川なので網が沢山あるというのもおかしいですしね。
では、その小安川はどこかというと、高屋敷川と運賀川に挟まれた小安八幡神社前を通る川になります。ほんとに小さい川ですね。現在の小安川を見る限りでは何かここで獲れるんですか?という印象が拭えません。(笑)
なので、やっぱり河口付近にいつも網があって漁が盛んなところだったのではないでしょうか。
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