『北海道駅名の起源』の初版は1929年(昭和4年)に発行されたものでしたが、当時はこのブログでも有名な永田方正氏の『北海道蝦夷語地名解』や磯部誠一氏の『北海道地名解』、ジョン・バチェラー氏の『日本地名の研究』等から参照したりして作られていました。
その後、アイヌ語や地名の研究が進んで改訂の必要性から、高倉新一郎、更科源蔵、知里真志保3氏の手によって内容が再検討され 1950年(昭和25年)に改版されました。さらに1954年(昭和29年)には、考古学の河野広道氏を加えた4氏の監修によって昭和29年版が出来上がります。
アイヌ語地名を調べるなら、この昭和29年版は以前ご紹介した『アイヌ語地名資料集成』に収載されていますので別途手に入れる必要はありません。
しかし、この昭和48年度版は駅名の起源だけでなく、路線図やその路線の由来、近くの風物詩なども記載され、ある意味鉄道旅行のパンフレット的作りに仕上がっています。さらに現在の筆者目線から話すと、廃線となった路線、道南なら江差線、松前線、瀬棚線等も掲載されているので、 アイヌ語地名のためだけでなく、 北海道の鉄道本として楽しく読むことができます。
アイヌ語地名好きも鉄道好きも、本書を携えて鉄道の旅に出たくなる一冊です。